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ビジネス

書評ブログ「P&G流 世界のどこでも通用する人材の条件」

更新日:

「P&G流 世界のどこでも通用する人材の条件」 会田秀和 著(ダイヤモンド社)

作者紹介

会田秀和氏

元プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)米国本社

のHR担当ヴァイスプレジデント。

同社にて、人事、組織デザインの社内プロフェッショナルとして、

P&Gフィリピンの改革、P&GジャパンとP&Gコリアのグローバル化、

P&Gグレーターチャイナの改革などを手がける。

現在、AIDA LLC代表。

また、アストラゼネカ株式会社の社外取締役、

ビジネス・ブレークスルー大学大学院客員教授(組織行動学)を務めている。

プロクター・アンド・ギャンブル社とは

「P&Gマフィア」という言葉がある位で、

世界的エリート集団を生み出す会社として有名で、

実際に、P&G出身者は世界各地で大活躍しています。

特にマーケティングの分野ではとても優秀という印象を持っていますが、

P&G出身者がなぜ世界中で活躍できるのか、

その理由が見えてくるような、ヒントがたくさん詰まった著書です。

会社の仕組、企業文化の構築によって、個々人のマンパワーも高まり、

チームとしての組織力も高まり、

P&Gなら誰がやっても、どのチームに任せても

素晴らしい仕事、アウトプットが生み出されるという、

大変競争力のあるグローバル企業の代表格です。

グローバル視点からの各国の国民性分析

グローバル企業で、世界各国から優秀な人材が集まる

からこそ見えてくる、著者視点からの各国の国民性の分析が

とても分かりやすく、同質性に染まった自分のような

日本のサラリーマンにとっては、衝撃を受ける内容になっています。

例えば、中国人はミーイズム(自己中心主義)が強く、

ハングリーさがあり、積極的な自己主張ができているそうです。

これは何となくイメージはできますね。

反面、空気を読んで、相手の出方を見てから動く日本人は、

グローバルでは、自己主張が無さすぎて、使えないと見えるようです。

我々日本人からすると、こういった日本人の奥ゆかしさを、

全部肯定はしなくても、どこか誇らしげに感じている部分も

あるのではないかと思います。

ところが、残念ながらグローバルビジネスの世界では、

そういった美徳は思い切り否定されます。

日本人ははっきり主張しないので、理解できないと。

そんな日本人よりも、主張がはっきりしていて、分かりやすい中国人の方が、

一緒に働きたいと、そう考える欧米人も多いということです。

他にも、英語が堪能で、議論好きなインド人は世界中で活躍していること、

びっくりするほど時間にルーズなイタリア人の話とか、

そこまでなのかと、衝撃を受けました。

そのように特徴ある国々のなかで、

各国同士の相性の良し悪しなどもあるようです。

グローバルリーダーを目指す人には、非常に価値ある情報となるでしょう。

実体験から説得力あるコメントが綴られており、とても興味深いです。

ローコンテクスト文化、ハイコンテクスト文化

また、情報に関する考え方も、非常に勉強になります。

我々日本人や、近隣の中国・韓国人などは、

皆まで全部説明しないでも、深い個人的関係のつながりで、

暗黙のコミュニケーションを得意としています。

すなわち、全部を手取り足取り伝えなくても、

空気を読んで、気を利かせて、やっておいてくれるだろうと、

また、それを見込んでやっておきましたよ、とか。

これを「ハイコンテクスト」といいます。

その逆に、英語圏の米国、英国や、ドイツなどは、

割と人との交流は希薄で、プライベートとビジネスが

はっきり区別されている分、明確で、直接的な

コミュニケーションを必要とします。

空気を読むとか知りません。気が利かないなと

言われても、支持されていないことまでやりませんよと、

これを「ローコンテクスト」といいます。

コンテクストとは、直訳すると文脈、脈絡という意味です。

日本風の、全部を説明しなくても、空気を読むことで、

相手もこちらの意図を理解してくれるだろうと、

お互いの関係性や、受け手の理解力に強く依存するのが

ハイコンテクストの文化。そして、

全体の文脈などより、必要最低限のことをくっきりはっきりと、

YESなのかNOなのか曖昧にせず、明確に指示さなければならない、

というローコンテクストの文化があるということです。

従って、ローコンテクストの文化の中では、日本で美徳とされる、

「沈黙は金」は有り得ないということです。

各国の気質というか、性格に違いがあるというのは、

何となく理解できるのですが、

ビジネスにおいて、日本人が日本人に依頼するように、

「これ任せますので、お願いします」とやってしまうと、

予想だにしない結果になってしまうということが理解できました。

抽象的な表現はやめて、5W1Hを意識して、

なるべく具体的な指示、依頼をしなければ、

こちらの意図した結果は出てこないと考えた方が良いかもしれません。

その意味で、グローバルビジネスにおけるコミュニケーションとは、

単に英語が堪能ということだけでは不十分で、

以下のようなスキルが、特に日本人には必要とのことです。

日本人が苦手な6つのグローバルコミュニケーションスキル

①リスニングスキル(論点整理力)

②プレゼンテーションスキル(持論を披露する力)

③コンフロンテーションスキル(望ましくない状況を正す力)

④マネージングディファレンススキル(相違点に対処する力)

⑤ビルディング・オン・アザーズ・アイデア(他人のアイデアを取り入れ、革新的解決策を見出す力)

⑥大人同士のインタラクション(差別なく、相互依存と対等な関係の下意見交換する力)

このあたりは、是非本書の解説を読んで

よく理解しておきたいところです。

リスニング・スキルは、日本人の得意分野と思っていたが

特に、①のリスニングスキルなんて、

控えめな日本人は聞き手にまわりやすく、

人の話を大人しく聞くことぐらいは得意分野であり、

他国に負けてないと思っていたのですが、その逆で、

日本人はリスニングスキルを苦手としているとの事です。

というのも、ここでのリスニング・スキルは、

日本人のいう聞き上手ではなく、相手の話を理解するために、

こちらから質問を入れながら、時々相手の話を止めてでも、

しっかり理解し、相手が言葉で伝えきれないことがあるなら、

こちらから働きかけて引き出してあげるくらいの、

いわゆるアクティブ・リスニングを含んでいます。

なるほど、ただ単に相槌を打って、うなずいていればいいというものではなく、

ましてや、頭ごなしに反論するのでもなく、

相手の伝えたいことを全て理解しようとする、

必要なら的確な質問を入れて、引き出してあげることが大事なのですね。

意見の相違を恐れない

また、あまり異論を戦わせることを好まない日本人にとって、

④のマネージング・ディファレンス・スキルが苦手である

というのは納得できました。

日本人は一般的に、学校教育も含め、上意下達の指示・命令を、

異論反論なく、「わかりました」と受入れてきました。

自分にとって、なぜ相手が自分と異なる意見をもったのか、

何を目的としているのかということを的確に把握したり、

そこから妥協点を探るという作業は、考えたこともなく、

とても勉強になります。

そのあたりをマネジメントしてまとめ上げる為の、

テクニックやヒントについても詳しく解説されいます。

意見の相違を恐れるのではなく、

そこから何か新しい答えを生み出す為の、創造的な作業だと、

自分のマインドセットを書き換える必要性を感じました。

しかし逆に、こういったスキルを身につければ、

日本国内では貴重な人材として、すぐに活躍できるのではないかという

希望も見えました。是非本書でしっかりと確認下さい。

議論や対立を避ける日本人

議論についても日本人は苦手であり、一度議論になると、

勝ち負けに意識がいってしまい、つい頭に血がのぼってしまう

日本人も少なくないと思います。

グローバルでは議論は当たり前で、

サムシングニューを生み出すための手段であると皆に理解されています。

国際会議では、議論が高じて対立的な雰囲気が高まると、

その度に日本人が透明人間になってしまうとの事でした。

残念ですが、やはりそうか、という気もします。

対立は多様性の高い組織では必然で、異質な人たちがぶつかり合うことで

イノベーションが生まれるという、議論への肯定的な理解が

圧倒的に日本人には不足していると。

こういった、日本人がグローバルの中で苦手としている部分に対して、

著者である会田氏は、解決策も丁寧に示してくれています。

スキルとしてトレーニングしないと行動は変わらないと。 

例えば、反論する時の注意点は、「決して感情的にならない」こと。

日本人は反論されると感情的に反応してしまう傾向が強いようです。

その理由は、自分への評価と、自分の意見への評価を

混同してしまっていることに原因がある。ということです。

これには納得感があり、膝を打ちました。

反論や議論そのものがめったにない組織において、

異論、反論を繰り出すには、勇気が必要です。

そして反論される側も、自分の仕事に異論を唱えられたら、

自分の存在に疑問を持たれたように感じてしまい、

自分を守ろうと激しく抵抗してしまう、というパターンは、

どこの会社でも何度も目にする光景だと思います。

日本人の組織にこういう議論する文化を取り入れるには、

何のために異論、反論が必要なのか、

そして反論する対象は個人ではなく、個人の存在を否定するものではない、

ということをしっかり全員に理解してもらい、安全で安心な場である

という信頼感を確保してあげることが必要かもしれません。

P&Gが高い評価を得ている理由

P&Gでは、あくまでイノベーションを進めていくことで

成果を上げると決め、これに反する文化や行動は迷わず捨てていくそうです。

例えば日本固有の年功序列制は、

イノベーションを促進するドライバーではないと判断し、廃止したそうです。

また、P&Gで評価されるには、論理的思考力を超えた、

「戦略的思考力」が要求されるそうです。

具体的には、現在の事業環境を分析し、

そこに潜む様々な変数を洗い出すと同時に、

「やるべきことは何か(WHAT)」、

「どこで競争するのか(WHERE)」、

「どうすれば勝てるのか(HOW)」、

「そのためにはどのようなケイパビリティが必要か」

これらを明らかにした上で、新たな事業ビジョンを構想し

それを戦略に落とし込む能力が、求められるということです。

やはりイノベーションは、天から降ってくるものではありません。

P&Gという会社が、年齢も経験も関係なく、

考え方や仕組みを浸透させることで、

とにかくイノベーションを意図的に起こそうとしていることが分かります。

築き上げた地位や経験に居座れないので、

継続することもしんどいかもしれませんが、

こういったことが全体で習慣化できれば、確かに強い組織になると思えます。

VUCAの時代

Volatile(不安定)

Uncertain(不確実)

Complex(複雑)

Ambiguous(曖昧)

これからのビジネス環境について、上記の頭文字を取って、

VUCAの時代といいますが、

VUCAの時代には、新しいことを学習し、それを自分の組織に取り入れ、

道を切り拓き、皆を引っ張っていくリーダーが欠かせないとの事です。

特に日本は、高度成長期を経て、

世界第二位の経済大国まで上り詰めた成功体験があります。

その頃は、欧米をお手本に、それを真似て、改善していれば

良かったのですが、これからのVUCAの時代には、ビジネスはより複雑化し、

難易度が高まっていくということだと思います。

リーダーとマネージャーの違い

マネジメントは、一定期間内に目標を達成するために、

一定の枠組みの中で成果を最大化しようとする能力との事です。

一方、リーダーシップは長期志向で、

リーダーに求められるのはマネジャーのような管理スキルではなく、

改革とイノベーションにあります。

マネージャーは権限を行使するのに対し、リーダーは影響力を及ぼす

というように、本書ではその違いを解説しています。

リーダーシップは新しいことを創造したり仕組を変えたり、

会社の方向性を示したり、人に影響を及ぼすという部分で、

よりVUCAの時代に求められる能力ではないかと思います。

更に著書では、リーダーシップは全ての社員に必要である。とされています。

これからは、指示待ちではなく、個々人が組織を引っ張る役割を担おうとする、

当事者意識が重要になりますね。

人材育成

P&Gでは、トップ人材に選ばれなかった人にも、理由をきちんと説明し、

こうやればあなたもトップになれる。と教育します。

トップ人材以外の人達のやる気も引き出し、

組織全体の業績に結実させていこうとしています。 

そういう意味では、日本ではあまりにも公平さにこだわり過ぎて、

エリート教育に否定的である。と指摘されています。 

トップ人材には努力次第でなれることを明らかにし、

そのためにはどのようなスキルやケイパビリティが要求されるのか、

その評価基準についても透明化することが重要であるとの事です。 

P&Gの社員一人一人が、自分の仕事やビジネスにオーナーシップを持ち、

自己責任で能力開発をすることを、認識できている。

というから素晴らしいです。

こうやって、どういう人材が求められていて、

どうなればトップ人材に近づけて、今の自分はどのレベルにいるのか、

日本企業では、そこが結構曖昧であるような気がします。

グローバル人材の評価は「アップ・オア・アウト」昇進か退職か

逆に、厳しい側面として、実力の無い人にも厳しい組織。 

社員一人一人の成長が欠かせないとあります。 

P&Gは、会社として実力主義を徹底しています。 

原則、降格人事はないが、実際には相当数の人に

「キャンセル・アウト」の時が訪れるとの事です。

セイフティーネットとして、その時に備えた能力開発や

トレーニングの機会も充実させているとの事です。

従って、P&Gの社員にはあちこちから引き抜きの声がかかるそうです。

強い組織を維持する為に、残酷なようですが、

常に優秀な人だけが残れる仕組が出来上がっているということで、

自浄作用というか、成長させることが出来なければ、

この場にいられなくなるという厳しさもあわせ持っています。

これが、向上心ある人だけが集まる仕組なのかもしれませんね。

日本人よ、もう一度世界を目指せ

日本的経営はかつての成功体験に縛られ、真摯に学ぶ姿勢が薄れてしまったと、

著者は今、他国と比較して競争力を落としている

日本企業に警鐘を鳴らしています。

次代リーダーは、既存のやり方にこだわらず、

優れたやり方を進んで取り入れ、新しい成長カーブを描くこと。

なにより情熱を持ち、誠実で、変化をチャンスととらえるマインドセットを

持ち、まず一歩踏み出して、考えるより動くことが重要。

グローバル・ビジネスで成功する人は好奇心にあふれ、

知らない事には首をつっこみ、未知なる経験を求め、

変化を歓迎する人だと進言しています。

まとめ

P&Gのようなグローバル企業からみて、かつては優秀だとされてきた日本人の

苦手とする面、グローバルでのコミュニケーションの方法や、

必要なスキルが詳しく記された本書は、どんな業種、職種の人にも通じる

ビジネスバイブルになると思います。

また、読み進めていく内に、自分自身がどんどん鼓舞されていき、

やったるぞ、というモチベーションが上がってきます。

読みやすい内容となっていますので、

全てのビジネスマンにおすすめさせて頂きます。

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