11月3日にアメリカ大統領選挙の一般投票が
ありましたが、だいぶ盛り上がっているようです。
他国のことだと無関心でいるのはもったいないです。
ちょっと分かりにくいこの選挙の仕組を理解し、
どんな可能性があるのか?を分かった上で
その行く末を見守ると、かなり楽しめると思います。
この4年に一度のオリンピックのような米国の
ビッグイベントを、今からでも楽しみましょう。
アメリカ大統領選挙の投票の仕組
選挙権は、18歳以上のアメリカ市民で、
自ら有権者登録をした人のみが投票できます。
そしてこの大統領選挙を難しくしているのが、
投票の多数決で票を多く集めれば勝利、ではない
というアメリカの伝統的な投票方法にあります。
得票数の競争ではなく、まずは一般投票により
各州の選挙人を選ぶところがスタートです。
そして厳密に言うと、大統領は、この各州の
選挙人によって決められるものです。
選挙人とは?
選挙人は、連邦議会の上院議員が、各州に2人ずつ、
50の州にそれぞれいるので50州×2人=100人。
そして、下院議員が各州に1人以上、人口によって、
人口約70万人あたり1人ずつ振り分けられており、
これが全米で435人います。
そして首都ワシントンDCの代表が3人います。
100人+435人+3人=538人。
合計538人の大統領選挙人がいます。
人口の多い州ほど選挙人が多いということになります。
538人の選挙人の過半数、270人の票を獲得した方が
大統領になれるという仕組みです。
そして、最も理解が必要なことが、
得票数に応じて選挙人が割り振られるのではない、
という部分です。
どういうことか?
メイン州とネブラスカ州をのぞく全ての州は、
票の差が僅差であろうが、大差であろうが、
勝てば、その州の選挙人を総取りできるのです。
したがって、人口が多い州ほど選挙人が多いので、
どの州で勝つかというのが非常に大きな要素になります。
つまり、一般投票の票数で勝っても、
選挙人による投票で負けるというケースがあります。
現に、前回2016年の大統領選挙では、
ヒラリークリントンの方が得票数は多かったのに、
選挙人の投票でトランプが勝利しています。
いつ大統領がきまるの?
まず、12月8日までに、各州は選挙結果を認定しなければなりません。
そして、その結果を受けて、
12月14日に選挙人による投票が行われます。
そして年明けの1月6日に開票結果が確定し、
1月20日には大統領および、副大統領が宣誓、
正式就任というのが通常スケジュールとなります。
日本の選挙では投票日の夜に開票が始まって、
翌朝までにはだいたい結果が出ていますが、
その時間のスケールは全く異なるものです。
郵便投票ではトランプ不利?
今回の一般投票だけでも、通常数日~数週間かかる
ことがあるようですが、さらに今回は新型コロナ禍で、
郵便投票の割合が増えており、これは通常の投票所の
投票よりも集計に時間がかかることが見込まれています。
実はこの郵便投票を選ぶ有権者というのは、
新型コロナウイルスの感染を恐れていたり、
慎重に考える人達である可能性が高く、
新型コロナウイルスをただの風邪と捉え、
マスクをすることに否定的だったトランプ氏
よりも、ソーシャルディスタンスを頑なに貫いてきた
バイデン氏の方が相性が良いと言われています。
従って、投票所の開票の後から郵便投票の分の
開票がじわじわと来る前に、トランプ氏としては
勝負をつけてしまいたかったのではないでしょうか。
トランプが最高裁への提訴?
ここへきて、トランプ陣営が得票状況が自陣に不利と
思われる州の投票や集計に不正があったとして、
提訴する構えを見せています。
この不正に関する証拠や、根拠となるものは、現時点では
示せていないようですし、自陣が勝利しそうな州に関しては
そういった提訴の動きはしていません。
しかし、もしこのトランプの提訴がある程度の
信頼性をもって受け入れられた場合、
どんな可能性があるのでしょうか?
まさかの方法を狙ってる?
もしトランプ陣営の不正があったとする主張が受け入れられて、
法廷闘争に持ち込むことができた場合、
それによって、一部の州が選挙結果を確定できなくなり、
選挙人の投票でも、両者とも過半数に達しない場合、
連邦議会が選挙結果を決める事態になることがあるそうです。
連邦議会が決める場合、下院議員の50の州の代表が一票ずつ
投票して、過半数の26票を獲得した方が勝利します。
この連邦議会に舞台が移った場合には、今の状況では
共和党が有利で、トランプが勝利となる可能性が
非常に高まるようです。
トランプの提訴は、ただ単に負けず嫌いでダダをこねて
いるように見えますが、
状況を考えて、戦略的に法廷闘争に持ち込まないと
、勝つ方法がないと考えているのでしょう。
とにかく負けそうな州には、不正だ、提訴だと
主張しておいて、あとから根拠となる不備やほころびを
見つけ出して、説得材料にしようとしているのでは
ないでしょうか。
決められたルールの中で正々堂々と戦って欲しいですが、
どんな手を使っても勝ちに行くという
この勝利への執念はすごいですね。
日本にとってはどんな影響が?
日本人にとっては、トランプ氏の方がやや人気がある
という記事もありました。
トランプ氏は問題発言も多かったですが、
アメリカ・ファーストで、さらに
共和党の支持層である白人、男性、高齢者を中心に
自分を指示してくれる人たちのメリットに
特化した政策を進めてきました。
中国に対してはファーウェイやZTEなどへの
経済制裁や、輸入関税などを課し、強硬姿勢を
とっていました。 そして環境問題よりも
経済成長優先で、パリ協定からの離脱など
ディール優先という感じです。
反対にバイデン氏は、環境問題への対応や、
人種差別への対抗など、分断された米国の統一を目指し、
バイデン副大統領時代のオバマ大統領の政権では、中国に
親和的で、やや日本を軽視する側面もあったと言われ、
日米貿易で考えると、日本にとって交渉が厳しい状況に
向かうという見方があります。
どちらになろうとも、日本も新しい菅内閣になって
こちらの状況も変わっています。どちらも日本にとって
安泰ということでは無さそうです。
この年明けまでの米国一大イベントを
興味深く見守っていき、世界の大きな流れを
注視していきたいと思います。
まとめ
4年に一度のアメリカ大統領選挙について、
投票の仕組や、選挙人とは何なのかを
分かりやすくまとめています。
この後投票結果が確定され、選挙人による投票が
12月14日に行われ、来年1月6日に開票結果が確定、
1月20日には新しい米国大統領が就任となります。
開票速報ではバイデン氏がやや有利で、新型コロナで
増加した郵便投票の開票がこれから加わると、
トランプ氏に不利な状況が予測されています。
ここへきてトランプ氏も自陣に不利な州の投票や集計に
不正があると、提訴する構えを見せていますが、
もし法廷闘争になり、投票結果が確定できず
選挙人による投票で両者とも過半数に届かない事態になれば
連邦議会に舞台がうつされ、下院の州代表による投票となれば
あるいはトランプ氏の逆転勝利の可能性が残っているようです。
どちらが大統領になっても、日本にとって安泰ということでは
無さそうですが、この米国の一大イベントを関心を持って
見届けることで、次の世界情勢を予見することができるかも
知れません。