コロナ禍で、経済活動、人々の移動が抑制され、原油などの
燃料が余っているということですが、
裏を返せば、CO2削減など、地球環境にとっての課題が
大きく改善することになるのでしょうか?
考察してみました。
原油先物価格がマイナス
世界的に経済活動がストップしたことにより、
原油の需要が大きく後退し、原油の貯蔵キャパを超えてきていることに
端を発し、原油先物価格が一時マイナスに下落したということです。
どうして原油先物価格がマイナスとなったのか、先物取引の仕組みを含めて解説
Yahoo! JAPAN News
https://news.yahoo.co.jp/byline/kubotahiroyuki/20200422-00174598/
経済活動、移動の自粛、国際線飛行機など減便
実際に、JALやANAは、9割以上の運航停止や減便を強いられるなど、
国を超えた大きな移動はほとんどなくなり、不要不急の移動は抑制され、
経済活動も抑制されました。
そこで使われるはずだったエネルギーは使われずに、
大量に余っているということです。
ということは、温室効果ガスの排出も、
大きく減っているということでしょうか。
CO2削減はだいぶ進んだか
CO2(二酸化炭素)排出量が世界最大である中国では、
2020年3月1日までの4週間でCO2排出量が2億トン減少、
前年同期比で25%減となったとのこと。
この間の削減量はオランダ一国の年間排出量に相当するそうです。
「脱炭素社会」後回し危機 コロナ長期化、機運に陰り CO2急減、反動を警戒
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20200420/ddm/007/040/082000c
そしてこのような傾向は欧米や日本等にも見られ、
今回の新型コロナウイルスの騒動が、地球環境の悪化に
ブレーキをかけてくれる可能性があるとされています。
京都議定書、パリ協定とは
1992年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた、
国連の地球サミットにおいて、
「気候変動枠組条約」がつくられ、
地球温暖化問題への国際的な枠組みがつくられました。
この「気候変動枠組条約」の具体的なルールを決めたのが、
「京都議定書」となります。
「京都議定書」では、先進国に対して、
温室効果ガスの排出を減少させることを要求しています。
「京都議定書」は強制力があり、義務を果たすのは当時の先進国のみ
というものでしたが、アメリカ、カナダなどが離脱し、
日本も、批准国でありながら、議定書の延長には
参加しないことを決定しました。
それをバトンタッチする形で引き継いでいるのが「パリ協定」となります。
欧州中心の先進国だけが義務を負った「京都議定書」と比べて、
「パリ協定」では、発展途上国も含む世界中の国が温暖化対策をすること、
対策目標は、各国が独自に決められるボトムアップ型で、
ゆるいものとなっています。
各国の経済活動を止めたくない思惑もあり、ゆるい目標となりながらも、
世界中を巻き込んでの大きな取組となりつつある「パリ協定」ですが、
21世紀後半には、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする
という目標も掲げています。
世界の二酸化炭素排出量(2017年)
JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター
https://www.jccca.org/chart/chart03_01.html
上記の世界の二酸化炭素排出量をみると、まずは、中国とアメリカが
かなりの割合を占めていることが分かります。
そして、日本までのワースト5カ国で、排出量合計の57.4%も占めており、
EU各国は比較的排出量抑制に真剣に取り組んでいるように見えます。
その二酸化炭素排出量世界二位のアメリカが、
パリ協定の離脱正式通告を発表しています。
トランプ政権の「パリ協定離脱」と米経済界の困惑
WEDGE Infinity
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/18038
しかし今、こういった経済優先の考え方が、
新型コロナウイルスによって、
転換点にさしかかっていると思います。
経済と環境問題はトレードオフなのか
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、我々は今、
生活のあり方、仕事の方法について、新しい形への
変化を迫られています。
不要不急の外出は避け、三密の行動を避けての生活や、
仕事の無駄を減らし、オフィスに出向かなくても、
テレワークで多くのことが出来ることが分かってきました。
ウイルスの特徴がもっと明らかになり、ワクチンが出来るまでは、
感染拡大防止のために慎重な活動が必要になりますし、
そのために経済を殺さないようにバランスを保たなければなりません。
このように、どちらも優先すべき事柄を、
うまくバランスを取って両立していく考え方を、
地球環境問題にも当てはめて、これを賢く実行する方法を
模索していくことが大事だと思います。
すなわち、環境問題を犠牲にしながら、経済を発展させるような
トレードオフの関係ではなく、
環境問題を犠牲にせずに、必要な経済発展を可能にする、
トレードオンの賢い方法を考えていくべきだと思います。
とても難易度の高い問題解決が必要になりますが、
チャレンジすべきであると思います。
時代の変革期
これからもしばらくは、不要不急な人の移動は抑制され、
その為に需要が後退する業界も出てくるのだと思います。
そしてその代わりに新しい需要や新しい産業も生まれてくるのでしょう。
少し前から、スマホをはじめとするデジタル技術が、
既存の業界、産業ごと淘汰していく動きが少しずつ始まっています。
そういう変革が、新型コロナで加速していく時代に
さしかかったのかもしれません。
多くの人達が、様々な苦労を強いられている状況ではありますが、
どうせ苦労するなら、将来、コロナ禍を乗り越えて人類はより強くなった、
地球環境は、よりクリーンで、より持続可能な社会を実現できるようになった、
と言えるようになっていたいと願うばかりです。