第46代 アメリカ大統領
米国のバイデン新大統領が誕生し、
1月20日に、その就任式が行われました。
大統領就任式でのスピーチの内容や、
トランプ前大統領の動向、バイデン大統領に
残された課題などについて、まとめていきたいと思います。
バイデン氏は民主党ですが、
今回、上院下院の両院でも民主党が
多数党となり、2009年以来の「ねじれ」状態も
回避することになり、バイデン大統領の
政権運営に有利な状況となりました。
国民の結束と新型コロナの収束
バイデン氏のスピーチで強調されていたのは、
結束が重要だということでした。
トランプ前大統領の存在感とともに近年
あらわになってきたことが、米国の分断であり、
格差の拡大、人種差別の問題、テロリズムなど、
米国の抱えるさまざまな問題は
人びとの分断を引き起こしてきました。
この大統領選挙の結果や、先日の議事堂での暴動も
分断を象徴するもののように見えます。
そこへきて、この新型コロナウイルスの
パンデミックです。 バイデン氏は、
まずは政治をいったん横に置いて、
このパンデミックに全力で立ち向かう、
ということを言っていました。
新型コロナウイルスの感染者数は
米国が世界最多となっており、
その死者数は、第二次世界大戦での
米国人死者数約40万人を超えるほどで、
この新型コロナウイルスが流行した一年弱
の短期間に出てしまっている状況です。
トランプ氏を意識した発言
バイデン氏の演説によると、
激しく広がり続けるウイルスとともに
拡大する不公平や、人種差別、
そして近年の危機なほどの異常気候などにも
対応していく意向のようです。
主にトランプ氏が力を注がなかった部分を
取り上げて、それをあらためてしっかりやっていく
という感じにも思えました。そして、
「民主主義だから、必ずしも自分に賛同しなくてもいいです」
「なぜなら、誰もが平和的に抗議する権利を持つのが
アメリカなのです。ただし、意見の不一致が国の解体に
つながってはなりません。」
という意味のことを語っています。
先日のトランプ支持者による議事堂占拠の
暴動を意識した話だと思いますが、
トランプ氏が自分の支援者のためだけに
好まれる発言や方向性を示していたのに対して、
バイデン氏は結束をめざして、
自分を支持しなかった人達のためにも
大統領として全力で戦う。ということを
言っています。また、
赤い州と青い州の対立、農村部と都会の対立、
保守派とリベラルの対立、これらの不穏な国内対立を
終わらせる。と語っています。
言うは易しですが、これらの分断を
平和的に結束させることができるのかどうか、
お手並み拝見ということになります。
大統領選挙の制度そのものがどうなのか
個人的には今回問題になった大統領選挙の
選挙人制度について、見直すような発言が
あっても良かったなと思いました。
今回の大統領選の投開票に不正があったと
主張するトランプ氏ですが、その根拠は示されず、
いずれも却下されていました。 ただし、
トランプ氏の支持者を中心に、大統領選挙に
不正があったと、本当はトランプ氏が勝利したと
本気で考えている人が結構な割合でいるということは、
その選挙制度そのものが、デジタル時代に合った、
不正の入り込むすきがないものに
まだ至っていないということだと思います。
カマラ・ハリス副大統領
アメリカ初の女性副大統領で、アメリカ初の黒人副大統領、
アメリカ初のアジア系副大統領として、
初めて尽くしのカマラ・ハリス副大統領が誕生しました。
父親がジャマイカ出身で、母親がインド出身
ということだそうです。
バイデン氏をサポートしながらも、その存在感を
示して、一気に大統領へと駆け上がることが
できるのかどうか、活躍に期待したいです。
カマラ・ハリス氏以外にも閣僚の半数に女性を起用し、
多様性を重視した組閣となっています。
この布陣が吉と出るかどうかにも注目していきたいです。
アマンダ・ゴーマンさんの自作詞朗読が絶賛
バイデン氏の夫人が推薦したという、この22歳の
女性は、大統領就任式で詞を朗読する最年少
の女性となりました。
バイデン大統領もそうらしいのですが、実は
この22歳のアマンダさんも言語障害があるとのことでした。
しかしながら、それを全く感じさせない力強い
迫力あるスピーチは、是非リアルなスピーチの
音声を動画などで直接聞いてもらうことをおすすめします。
まさに大統領就任式の主役の座を
奪うほどの迫力あるスピーチだったと思います。
トランプ前大統領の4年間を振り返る
トランプ氏はバイデン大統領の就任式に出席せずに
自らの退任式に出席していました。
「何らかのかたちで、また会いましょう」という言葉と
ともに、大統領への返り咲きをにおわせていましたが、
最後までやりたい放題というか、この存在感はすごいですね。
思えば、トランプ大統領は「アメリカ第一」を掲げ、
そりが合わない閣僚を、片っ端から解任、排除し、
TPPからの離脱、パリ協定からの離脱、
ロシア疑惑、ウクライナ疑惑などで世間を賑わせ、
大統領選直前には、自身も新型コロナに感染
するなど、良くも悪くもとにかく目立っていました。
前オバマ政権の副大統領であったバイデン氏は
トランプ氏によって引っくり返されたものを、
オバマ政権時代のもの、トランプ政権以前へと
元通りにするかのごとく、
気候変動対策のパリ協定復帰への署名、
イスラム教徒の多い国からの入国制限を撤廃、
メキシコとの国境の壁建設を中止、
パンデミック対策で、連邦政府施設においての
マスク着用とソーシャルディスタンス維持を義務化、
世界保健機関(WHO)への復帰、再加入
などへの大統領令へ署名をしています。
その他、中国、ロシア、EU、中東各国などへの
対応が全て重要になっていきますが、
78歳と高齢で、認知症の疑いもあった
バイデン氏がどこまで活躍するのか、
活躍を期待したいです。
まとめ
第46代アメリカ大統領 バイデン氏が誕生しました。
就任式では、新型コロナへの対策と同時に、
トランプ氏が分断を加速させたとも言えるアメリカの、
結束を高めることを強調していましたが、
格差や人種差別など様々な対立から来る分断を
どう取りまとめていけるのか、お手並み拝見となります。
今回、大統領選挙の投票に不正があったとして
いつまでも敗北を認めなかったトランプ氏だけでなく、
不正があったと思っている人、本当がトランプ氏が
勝利したと思っている人は意外に多く存在します。
そういった疑義が入る余地のない、近代的な選挙制度に
バイデン氏主導で動いても良いのではないかと思っています。
そして、女性初、黒人初、アジア人初の副大統領
カマラ・ハリス氏をはじめ、閣僚の半数を女性が占め
多様性を重視した組閣となっています。
大統領就任式では、アマンダ・ゴーマン氏の
自作詩の朗読が主役の座を奪うほどに絶賛されました。
このように盛大な盛り上がりを見せた大統領就任式
ですが、トランプ前大統領は欠席し、自らの
退任式に出席していました。
アメリカ第一を掲げ、過激な言動や意思決定を
してきたトランプ氏でしたが、バイデン氏の
最初の仕事は、それらをトランプ政権以前の
常態に戻すという作業になりそうです。
78歳と高齢のバイデン氏ですが、それだけでない
世界のリーダー、アメリカたり得る、
存在感を示すような仕事ぶりを期待します。