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アフガニスタンのニュースを三つの要素から考える

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アフガニスタンをタリバンが制圧

アフガニスタンの反政府武装集団タリバンは

首都カブールに進攻し、大統領府を掌握しました。

アフガニスタンのガニ大統領は流血の争いを

避けるという理由で国外に脱出し、タリバンは

これまでアメリカが統治してきた、アフガニスタンで

米国の傀儡政権とみなすアフガニスタン政府を倒して

新国家を樹立させると宣言をしました。

https://jp.reuters.com/article/afghanistan-conflict-idJPKBN2FG0MZ

ロイター タリバン、アフガン首都の大統領府掌握 ガニ大統領は出国

タリバンは徐々にアフガニスタンにおける掌握地域

を広げていき、米軍が完全撤退を予定していた8月末

を待たずに、首都カブールを制圧しました。

カブール市内は大混乱となり、市民は現金を引き出す

ために銀行に長蛇の列をつくり、カブール空港には

国外脱出をはかる人が押し寄せました。

中東の国の紛争は頻繁に起こっている印象がありますが

複雑で、なかなか理解がしにくい部分があります。

そこで、「地理」「歴史」「宗教」という、

三つの重要な要素から理解を深めていき、

今起こっているニュースの意味合いや、それぞれの国や

団体がどのような思惑で動いていて、どのような対立が

起きているのか、学んでいきたいと思います。

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(1)地理的な要素について

まず、一つ目の要素はアフガニスタンの地理的要因

について取り上げていきましょう。

周囲を海に囲まれた日本に住んでいると、

国境を意識する機会は少ないと思います。

日本にとって隣の国は、海を隔てた向こうにあるので、

日本だけは外国のことを「海外」という呼び方をします。

したがって、たとえば北朝鮮と韓国の国境線である

38度線のように、陸続きの中に緊迫した「国境」という

区画があるということが身近には感じにくいだろうと

思います。 そういう意味ではアフガニスタンの地図を

見るだけで、日本とは国境の考え方が大きく異なるの

ではないかと容易に想像できると思います。

https://www.japanplatform.org/lib/data/reports/afghanconference/afghan_map.html

大陸の中で360度周囲を他国に囲まれた

内陸国であるアフガニスタンは、旧ソ連の

トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン

の三国と、イラン、パキスタン、そしてわずかに

中国とも国境を接しています。

そして、国土の面積は日本の1.7倍あり、人口は

日本の約3分の1程度の約3890万人ということで、

人口密度は低く、国土の4分の3が山岳地帯で、

南部には砂漠地帯もあり、かなり自然が多い、

というイメージを抱きます。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/afghanistan/data.html#section1

外務省ホームページ アフガニスタン基礎データ

そして、広大な自然を生かした農業や牧畜への

依存度が高いということですが、断続的な紛争による

社会や政治の混乱が長く続いていることもあり、

経済的な面では貧しい国であるということが言えそうです。

民族についても、イラン系のパシュトゥーン人、タジク人、

モンゴル系のハザラ人、トルコ系のウズベク人を筆頭に

複数民族で構成されており、それぞれの言語も違っていたり

するのでそのあたりも含めて、日本のようにシンプルに考える

ことはできないのだろうと思います。

(2)アフガニスタンの歴史について

二つ目の要因として、大国の思惑に影響され続けた

アフガニスタンの歴史 について取り上げます。

米軍が撤退したのはなぜか?

2001年の「9.11」の後に英米の報復攻撃によりタリバン政権を

崩壊させ、以降もアフガニスタンに米軍を派遣し続け、

タリバン勢力を抑え込み続けることに、米国は218兆円もの

経費を使い、2千数百人の米兵が亡くなっているといいます。 

これは尋常な負担ではないと思いますが、

そういった犠牲を払いながらも、めぼしい成果という

ものが、なかなか見えてこずに、退くに退けない状況

だったのかも知れません。

すでにトランプ前大統領の時代には、アフガニスタン

からの米軍撤退は公約にもなっていましたが、

バイデン大統領がそれを引き継ぐ形で撤退を進めました。

米国の都合でのお粗末な撤退と見られる向きがあり、

無責任だという批判が相次いでいるようですが、

米軍が撤退し、米国のアフガニスタンにおけるプレゼンス

が低下したのを見計らって、今度はまたロシア、

そして中国がアフガニスタンに急接近しようとしています。

アフガニスタンに接近するロシアと中国

タリバンと結びつきが強い隣国のパキスタン、

そのパキスタンと友好関係にあるのが中国です。

一帯一路構想で、欧州までのシルクロード経済圏を

目論む中国にとって、アフガニスタン掌握は

中東、アジア諸国に深く食い込むのに重要となる

といいます。そしてまた、中国が世界に先駆けて

リーダーシップをとろうとしている、電気自動車(EV)

のバッテリーに使われるリチウムなどの豊富な鉱物資源が

アフガニスタンには大量に眠っていると言われています。

タリバンにとっても、大国中国による経済的な支援や、

インフラ整備は、喉から手が出るほど欲しいでしょう。

また、もう一方のロシアは、ソビエト連邦時代の

1979年のアフガン侵攻から10年間も、軍事介入を

し続けて、そのことがタリバン誕生のきっかけに

なったにもかかわらず、水面下ではタリバンと

話し合いを継続し、根回しをしたり、近年はロシア政府も

モスクワの会議にタリバンの指導部を招き、タリバンの

国際的信用を高めることに尽力しているといいます。

また、アフガニスタンと国境を接するウズベキスタンと

トルクメニスタンとは、タリバンとハイレベル会談を行って

いたり、ロシアは同盟国のウズベキスタンやタジキスタンと

アフガン国境近くで軍事演習を行い、武力を誇示しています。

こうやって中国とロシアを比べてみても、どちらの国も

抜け目なく、アメリカが撤退したと思ったら今度はこの二大国に

入り込まれようという状況は、アフガニスタンの一般市民

にとっては不安なことだろうと思います。

(3)イスラム教について

イスラム教は、「スンニ派」、「シーア派」

という二大宗派があります。

「スンニ派」とは、「コーラン」に従い、経典を重視

する宗派であり、スンニ派の盟主はサウジアラビアです。

「シーア派」は、最後の預言者「ムハンマド」の血統を

重視する宗派であり、シーア派の盟主はイランとなります。

ちなみに、イスラム教徒の9割がスンニ派で、

シーア派は1割程度といわれ、少数派となります。

アフガニスタンでもスンニ派が多数であり、

タリバンもスンニ派を支持しています。

スンニ派の中にも、教典の解釈をフレキシブル

に考える「世俗主義」と、解釈を勝手に変える

ことをかたくなに許さない「イスラム原理主義」

という考え方があり、両者は真っ向から対立して

います。

そしてこのイスラム教について、注目すべきは、

その世界におけるプレゼンスの高まりです。

イスラム教国の出生率が高いことからも、

2100年にはイスラム教人口がキリスト教を追い抜き、

世界最大勢力になると言われています。

もはや、日本人の我々にはあまり関係のない

遠い世界の出来事でしょ、とは言ってられません。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM04H0I_W5A400C1EAF000/

日本経済新聞 イスラム教徒、2100年には最大勢力 世界の宗教人口予測

タリバン、アルカイダ、ISの違い

タリバン、IS、アルカイダともにイスラム教

スンニ派の過激派組織と言われていますが、

何がどう違うのでしょうか?

三つの組織の源流はじつは一緒で、かつての

ソ連のアフガン侵攻時代、ソ連軍と戦い続けて

いた、ムジャヒディン(イスラム戦士)が

その成り立ちといわれています。

そのムジャヒディンの勢力争いの中から、

それぞれの組織が生まれてきたという訳です。

タリバンについては、かつて1996年にも

首都カブールを制圧し、タリバン政権の時代が

既にありました。 

一方、国際テロ組織と呼ばれるアルカイダは、

9.11の米国テロを引き起こした、指導者の

オサマ・ビン・ラディンが有名ですが、

当初アルカイダは客人扱いで、タリバンの一軍事部門と

なったのですが、アフガニスタンで米国に対し宣戦布告し、

それが2001年の9.11同時多発テロ事件へとつながっていきます。

アルカイダは、アフガニスタンの地から他国を攻撃しない

と、タリバンと約束していたのが、結果的にそれを裏切る

かたちになり、米国が、9.11テロの実行犯であるアルカイダを

かくまったとしてアフガニスタンを攻撃、タリバン政権を

崩壊に導きました。 タリバンとアルカイダの関係も

水面下で続いていたようですが、今回タリバンが新しい政権

を立ち上げて、アフガニスタン国民や、国際的な信頼を得る

ためには、このような過激派組織とのつながりを断つ

必要があるでしょう。

そして、ISは、もともとアルカイダ系組織を母体として

おり、アルカイダに比べて軍事部門や政府部門など

組織化された動きを取っているようです。

また、斬首や極端なシーア派敵視などの残虐行為が

目立ち、アルカイダの指導者ザワヒリは2014年、

ISILをアルカイダから破門していて、アルカイダ系組織

とISは対立関係にあるようです。

また、ISは、米国と和平交渉にのぞむタリバンに対しても

侮蔑発言をしており、アフガン国内でも衝突を繰り返すなど

敵対関係にあるようです。

https://www.moj.go.jp/psia/ITH/organizations/SW_S-asia/taliban.html

公安調査庁 タリバン

今後、アフガニスタンから大量の難民が流出する恐れ

かつてのタリバン政権は偶像崇拝させないように

世界遺産を破壊したり、女性蔑視や、学問を忌み嫌っていた、

という部分が指摘されており、世界から批判されています。

今のタリバンはアルカイダやISのようなテロリスト集団とは

違うんだと、主張したいのでしょうが、9.11後に

あっという間に崩壊させられた20年前のタリバンとは

どう違うのか、当時の反省の兆しは、発言の中にみられる

ものの、当時を知るアフガニスタンの国民は必死に

国外脱出を試みようとしています。

ドイツやイギリスなどは、アフガニスタンからの

難民受け入れを表明していますが、どの程度の

難民が流出するのかによっては、混乱が続く

可能性もあり、今後も注目していきたいと思います。

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まとめ

中東の紛争などのニュースは、その一件だけの

記事を読んでも、何が何だかさっぱり分からず

良く聞くキーワードの意味さえ分からないまま

過ごしていました。今回このような「地理的な要素」

、「歴史的な背景」、そして、「イスラム教の影響」

と三つの要素に分けて理解を深めることで、

少しニュースの意味が見えてくるようになりました。

すると、日本に住む自分にとっては、想像もつかない

状況が、現実にあるということが少し実感できます。

今後もこれらのニュースを興味深く追いかけていく

ことが出来るだろうと思います。

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