国勢調査の結果が寂しい
総務省は2020年の国勢調査の結果を公表しました。
前回は2015年だったので、5年ぶりとのこと。
1995年の調査結果をピークに日本の人口が
減ってきたことをますます印象付ける
強烈な内容となっています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2992J0Z21C21A1000000/
日本経済新聞 生産年齢人口、ピークの95年比13.9%減 国勢調査確定値
日本の総人口は1億2614万6099人とされ、
5年前から94万8646人減っていることになります。
全体の人口減と比べて、その中身の年齢別の
構成割合が大きく変化しています。
経済活動の主な担い手となる、
生産年齢人口(15~64歳)は7508万7865人
で、5年前から226万6232人減り、
ピークだった1995年の8716万4721人に比べて
1200万人以上も減っています。
単身世帯が最多層
もう一つ、特徴的なことは、
1人暮らし世帯は5年で14.8%も増え、
すでに、世帯数の中で最も多い
カテゴリーになり、小家族化が起こっています。
これは日本に限ったことではなく、
世界においても同様の傾向があり、
世界の単身世帯数は2018年から30年にかけて
3割程度も増えると予測されています。
すでに欧米の主要国の単身世帯比率は3~4割を
占めていますし、大家族が多かったアジアにおいても、
2040年には5人に1人は単身者となる計算といいます。
単身世帯の増加は、非婚化と少子化を
同時に進ませてしまう可能性が高く、
人口減少を加速させる原因とも言われています。
また、家族の支援が受けられずに、介護や福祉の
公的支援は重くなりますし、孤独による心身の負担は増し、
心のケアも重要になっていきます。
経済や社会にも大きな影響を与えるであろう
単身世帯化、小家族化が世界的に起こり始めています。
少子化世界一×高齢化世界一
国勢調査の結果を確認してみました。
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka/pdf/outline_01.pdf
総務省統計局 令和2年 国勢調査
年齢を15歳未満と、65歳以上と、その間の
15~64歳の3つに分けて、その割合の推移を
みてみると、65歳以上の高齢者がどんどん
増えてきているのと同時に、15歳未満の子供の数が
減り続けている、少子高齢化の傾向が手に取るように
よくわかると思います。
上記の表は日本の問題点を如実に表していると思います。
高齢者が長生きしてくれるのは喜ばしいことに
間違いありませんが、その一方で、新しい世代がどんどん減っています。
1988年や1995年頃は、15~64歳の現役世代が
7割近くを占めており、経済的にも
強い日本だったことが想像できます。
そこから現役世代は59.4%まで割合を下げており、
近年は割合だけでなく、全体の人口も減少しています。
高齢者や子供達を支える、我々現役世代もまた
今後高齢者へと組み込まれていくわけで、
このまま現役世代がさらに減ってしまえば、
高齢化の社会コストを負担しきれずに、ボロボロに疲弊
してしまうのではないかと心配になります。
すでに65歳以上の多くの人がまだ引退せずに
働き続けているという傾向もあるようです。
悠々自適な引退後の生活を謳歌できる人は
どんどん減ってきているのかもしれません。
医療やライフスタイルの進化で、寿命や健康寿命が
伸びていくのは良いことですが、少子化の部分は国の大きな課題だと思います。
今回の国勢調査においても、相変わらず少子化には
歯止めがかかっておらず、毎年着実に子供の数が減少しています。
そして、総務省統計局の資料からは、
日本の15歳以下の世代の人数の比率が12.0%であり、
これは4千万人以上人口を抱える国の中で最も低いことが分かりました。
同様に65歳以上の高齢者の割合も、
28.6%と2位のイタリア23.3%を大きく引き離して
先進国で断トツの多さで首位となっています。
要するに日本は、少子化の世界一でもあり、
高齢化の世界一でもあるということです。
日本はすでに、世界に類を見ないほどの
老人国家になっており、それがますます加速
していて、どこまでいくのかという状況なのです。
打つ手はあるか、現状を受け入れるのか
世界的にも、新型コロナで結婚や出産は
さらに控えられており、少子高齢化は
予測よりも早いペースで加速するばかりです。
様々な経済予測は、当たったり当らなかったりと
見通しが難しい世の中ですが、この人口動態だけは
予測がしやすいと言われています。
すなわち、ずっと前からこうなることは分かっていたということです。
人口減少に歯止めをかけるためには、
移民を取り入れるという議論もありますが、
日本人が移民を好むと好まざるとにかかわらず、
世界では移民争奪戦の様相を見せ始めています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78176160W1A201C2MM8000/?unlock=1
日本経済新聞 新常識の足音(1) 移民なき時代へ人材争奪
アラブ首長国連邦(UAE)やエストニアでは、
インターネットで海外から仕事をしてくれる人に向けた
「リモートワークビザ」という専用ビザを設置したという動きがみられます。
このことはとても重要な動きになると思われます。
何しろ人口が世界で爆発的に増えていた時代が
そろそろ終わりを迎えようとしており、
多くの国が人口を維持できなくなってきています。
特に若者世代は世界でも稀少となっていきます。
これまでの移民=低賃金労働者という発想はなく、
高スキル人材においては、獲得に向けた競争がおきているようです。
日本では、2020年までに外国人労働者が172万人まで
増加していますが、まだ全労働者のわずか2%程度であり、
外国人から選ばれる国にならなければ労働者不足は補えない、
と上記記事では指摘されています。
世界の優秀な人に移民として日本に来てもらい、
労働力不足を補うための準備が、まだまだ日本には
足りない状況だと思います。
PayPayボーナスがもらえる・使えるグルメ予約サイト[PayPayグルメ]賃金が減少し、物価が上昇する日本に来たいか?
以前にも取り上げましたが、他国と比較して
給料が上がっていない日本は、移民を目指す
人達にとって、魅力も落ちているかもしれません。
https://www.sankeibiz.jp/article/20211218-CDYWF4N4VZCVJLE4SNW3473T7Y/
サンケイビズ 「平均年収は韓国以下」日本人の給料がちっとも上がらない決定的な理由
日本人の平均年収は1997年をピークとして、
現在まで20年以上にわたり減少傾向が続き、
20年で平均年収がほぼ倍増したアメリカや、
年々上昇してきた諸外国と比べると、
日本人の給料の低さがどんどん際立ってきているということです。
上記記事では日米の給与格差の背景には移民の存在があり、
若く有能な移民が労働力として経済を支え、
シリコンバレーなどでスタートアップ(起業)を
生み出す源泉になっているということです。
そして、給料が低いところへ物価上昇の
兆しが表れており、ダブルパンチを食らってしまうのでしょうか。
読売新聞オンライン 企業物価指数9%上昇、原材料高騰で81年以降最大に
国内企業物価指数という、企業が売買するモノの価格動向
が、前年同月比で9%も上昇したということで、
円安の影響や、原材料の高騰、米中の小競り合いなど
様々な要因が考えられますが、ここまで企業物価指数が
上昇したのは、1980年12月以来、40年ぶりということで、
それだけ異常な事態となっています。
当然企業だけで吸収しきれる物価上昇でもなく、
我々消費者にも影響してくることは、避けられないでしょう。
と、いうわけで、給料も上がらず、
物価も安くないという、いわゆるスタグフレーションに
陥っているかもしれない日本は、今後、世界移民争奪戦
と呼ばれる時代の中で、移民を希望する人々にとっての
候補の国になるのでしょうか?
まとめ
2020年国勢調査の結果が出ました。
日本は人口減少の中で、15歳未満の人口比率が
世界一低く、65歳以上の高齢者の割合が
世界一高いという、高齢国家に向けて加速
し続けているということが見えています。
そして、単身世帯が、最多世帯であり、小家族化
が進んでいることも見えてきました。
世界的にも人口減少のフェーズに入る国が
増えており、若い労働者が世界的に枯渇している中で、
世界移民争奪戦が起ころうとしています。
長い間、給料が上がらず、他国に追い抜かれており、
その上で物価上昇というスタグフレーションに
陥ったとも言われる日本は、どのようにして
不足する労働力を補っていくのか、課題は山積みと言えます。