アメリカのサクセスストーリーが崩れつつある
「成り上がり」という言葉がありますが、
かつてのアメリカとは、自由の象徴であり、
たとえ生まれ育ちが貧しくても、本人が努力し
実力をつければ、世の中から正しく評価され、
豊かになることができる、というのが
アメリカンドリームだと思いますが、
その、アメリカらしからぬ事態が起きています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0204X0S1A700C2000000/
日本経済新聞 アメリカンドリーム、今は昔? 「親より豊か」難しく
アメリカの一人当たりGDPは右肩上がりに
成長し続けており、一見、アメリカ人はどんどん
豊かになっていると思いきや、近年、多くの米国人
が親の年収を超えられなくなっているという
ことです。 例えば、1940年生まれの人の内
ほとんどの、約92%が、親の収入を超えることが
できたのが、1984年生まれは約50%にまで
下がったということです。
これはどういうことかというと、全体としては
増えているのに、増え方のバランスが悪い
ということです。
増えた富はどこへいった?
あまりにも富裕層が大きく増やしているので、
一般層はほとんど増えた感覚がないという、
要するに格差の拡大が進んでいるということが
上記記事から分かります。
わずか、上位0.1%の米国富裕層の平均年収の
伸び率は、2000年以降は5倍以上になっており、
下位90%の一般層の伸び率をはるかに上回って
います。お金持ちがますますお金持ちになって
いくという循環で、お金が無いけれど、夢を持ち、
努力を続ける人達には、チャンスが訪れにくく
なってしまっているということです。
アメリカンドリームを抱く若者が減り、その結果、
親元でくらし、自立できずにいる若者が増え、
ますますその格差が広がっているようです。
その傾向はコロナ禍でますます強まっており、
テレワークも高所得者には効率化の恩恵があり、
低所得者にはその恩恵が得られにくいことや、
株高の影響も高所得者に味方しているなど、
富が富裕層にどんどん集中しているという
状況にますます拍車がかかっています。
そのことが、若者の夢を追う気力をそいでしまい、
夢を失う若者が増加するという、残念な状況を
生み出しているようです。
アメリカだけの話ではなく
このことは決してアメリカだけの話ではなく、
日本も同様の流れがあります。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC076A60X00C21A7000000/?unlock=1
日本経済新聞 1000億円超え「株長者」24人 孫氏・柳井氏は1兆円超
日本でも、株高で1000億円以上の資産を持つ
「超富裕層」といわれる人が10人増えて24人に
なったということです。
ソフトバンクの孫さん、ユニクロの
ファーストリテイリングの柳井さんの二人が
1兆円以上の資産になっているという話は、
まあ、日本を代表する大経営者として
どんどん増やしてもらいたいと思えるほど、
別格な感じで、また、保有資産1000億円以上の
日本人が10人増えたと言われても、全く自分の
生活には関係ない話だと、関心が持てないの
ですが、そこから想像を広げて、日本人が保有
する株のほとんどは高齢者が持っているという
ことを考えると、確かにアメリカのように、
もともと資産を持っている人に有利にはたらいて
いる状況なのだと分かりますし、そういう実感は
自分のまわりには感じないというのは、やはり
格差が拡大しているということなのでしょうか。
国同士の格差も
日本に住んでサラリーマンをしている限り、
似たような収入レベルでの付き合いになるので、
前述のような格差に気づくことはなかなか
できません。 しかし、日本人全体が他の国と比較
しても、貧しくなっているということは、しっかり
と把握しておく必要があると思います。
https://diamond.jp/articles/-/278127?utm_source=daily_dol&utm_medium=email&utm_campaign=20210802
ダイヤモンドオンライン 日本人は韓国人より給料が38万円も安い!低賃金から抜け出せない残念な理由
記事で取り上げられているのは、OECD加盟国
の2020年度の購買力平価ベースの平均賃金
ということになりますが、日本はOECD35カ国中
22位で、1位のアメリカの約半分強にまで大差を
つけられ、OECDの平均値をも下回り、お隣、
韓国にも5年前に追い抜かれて、その差も開いている
ということです。 各国が20年間で収入を右肩上がり
に増やしていく中で、日本だけがほとんど変動なく、
置いてきぼりをくらっている感じです。
日本だけ凋落する理由
その原因としては、日本の雇用に柔軟性がなく、
一度雇用したら簡単に解雇できないこと、
昇給は喜ばれても、減給はしにくいことで、
企業がいざという時のためにお金をため込む
内部留保に重きを置いていることが
取り上げられています。
アメリカのように、会社への貢献度が低い人を
簡単にクビにして、貢献度が高いIT技術者などが
どんどん収入を増やすという、あからさまな格差は、
日本にはまだ、そこまでは無いということですが、
そのことが生産性の差を生み出し、それが
企業の競争力に表れているとすれば、給料の違いに
納得せざるを得ません。 以前当ブログでは、
米国人が3人でやっている付加価値の仕事を、
日本人は5人もかけてやっているという日米の
生産性の違いについて取り上げたこともありますが、
それがまた実感させられます。
とにかく現状では、アメリカにはGAFAMが生まれ、
シリコンバレーからは、その後に続けと
大活躍する企業がたくさん生まれていて、
日本とは収入で、倍位の差をつけられています。
それどころか、日本はお隣の韓国にも追い抜かれ
凋落に歯止めが効かない状況で、かつての経済大国
日本が見る影もなく、力を失ってきていることに気がつきます。
頑張ることを辞める若者
中国では、若者の間で「寝そべり」族という
主義が流行しているといいます。
これは、必要最低限の生活レベルを維持し、
他人から搾取されないように、お金も使わず、
結婚もせず、仕事を減らし、自分の為にだけ生き、
なるべく寝そべっているだけ、という考え方で、
もはや努力をしても意味が無いと、ファイティングポーズ
をとることを諦めてしまった若者が、増えている
ということです。
日本も同じで、大前研一氏の著書「低欲望社会」
(小学館)が有名ですが、やはり将来に期待が
持てずに、努力を諦めてしまう現象が、拡大して
いるのでしょうか。 出世したい、給料を上げたい、
車が欲しい、家が欲しい、という意欲がそがれて
しまうというのは、ある部分では社会が安定していて、
そこそこ働くことができ、そこそこの収入があれば、
食べていけるし、親と同居なら余裕も出てきます。
平和で安定した社会が保たれている、という
側面もあると思いますが、逆に、将来への希望が
持てず、昨日より今日、今日よりも明日の方が
良くなっている、という前向きな期待が持てない、
どうせ頑張ったってなにも変えられないさ、
という「閉塞感」もあるのだろうと思います。
低欲望社会 〜「大志なき時代」の新・国富論〜(小学館新書)【電子書籍】[ 大前研一 ]
どうすれば、格差社会で生き延びることができるか?
確かに資産を持っている人がより資産を増やし、
持っていない人が努力しても、意味が無いと
なれば、努力する意味が見出せず、何もしない
のと同じと諦めたくなると思います。
しかし、何でもいいので自分の興味のあること
を学んだり、伸ばしていくことは、人生を豊かに
する上で重要だと思います。たとえ収入に
直結しなくても、何かの分野であくなき探求心で
突き詰めていけば、いつ何時にチャンスが訪れる
かは分かりません。 SNSやYouTubeでは、
個人が大きな組織よりも発信力を持つケースも
たくさんあり、バカになりません。
そして、自分を大事にすることが重要だと
思います。自分を大事に考えれば、自分を高める
ことに関心が高まり、何かにチャレンジする
勇気も湧いてくると思います。
ランニングでも、少しでもタイムが良くなったり、
ビールが美味しくなったり、ちょっとしたことで
自分をほめてあげて、わずかでも成長する自分を
ゲーム感覚で楽しむことも、何事も長続きする秘訣だと思います。
前述のように、諦めてしまう人が増えているならば、
自分を諦めていないというだけでも優位であり、
上に浮上する力になるはずです。
まとめ
アメリカでは、親世代の給料を超える人が
年々減少し、アメリカンドリームを目指す若者が
減り、親元で暮らし、自立できずにいます。
そして逆に上位わずか0.1%の富裕層がますます
その富を拡大させ、格差がどんどん拡大しています。
日本でも同様の傾向が見られ、株高などで富裕層
ほどに資産を増やす傾向が見られます。
そして、日本自体も、先進国の中で各国に収入で
差をつけられ、追い抜かれている状況があります。
持てる人がますます優位になる格差社会の中で、
無気力になる若者、低欲望社会が広がっていますが、
現状を変えて、良くなりたいという欲望は生きる
活力でもあるので重要だと思います。
自分を諦めず、どんな分野でも成長を楽しみながら
コツコツと継続していけば、いつどんなチャンスが
訪れるか、分かりませんので、自分の成長への
関心を常に高めておきましょう。