コロナ第4波
新型コロナの第4波が心配され、
今、必要な対策についての、竹中平蔵氏の
コメントが、国や知事の論点のズレを
鋭く指摘していると感じました。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO70892260Q1A410C2EA3000/?unlock=1
日本経済新聞 コロナ第4波対応を聞く
緊急事態宣言の意味合いについて、
当初と今では少し捉え方が変わってきている
ように感じていました。
去年4月の際は、過去のスペイン風邪など
のケースを参考に、パンデミックが長引くことを想定し、
第2波、3波とくる前提で、感染爆発をなるべくゆるやかに
できるよう、ピークを後ろにずらすことで、
その間に医療体制を整えて、対応できるようにする
といった意味合いがあったと思っていました。
それが、いつの間にか感染を抑え込むことがメインに
なり、ああまた、抑え込みが足りなかった、
自粛が甘かった、我慢が足りない、ゆるんでいる、
という方向に反省が促され、その間、病床数は
全く増えていないことが当然のように、話し合われない
ことには釈然としないものがありました。
日本の医療体制の問題点
そのあたりのことを竹中平蔵氏がズバッと
切り込んでくれて、何かスッキリした気がしました。
日本の医療従事者の数は、アメリカの医療従事者と
ほとんど変わらないそうです。
コロナの感染者数も死亡者数も、人口比で
日本は米国の30分の1程度の被害で済んでいます。
それなのに医療崩壊が叫ばれていて、
それに対して政治家も専門家会議も、
医療体制の強化について、全く手をつけない
まま放置されており、日本の医療制度は、
構造的に問題があるという指摘です。
緊急事態宣言を伴うような国の有事に、
そこに何も協力を得られない、調整できないとは、
政治家の仕事っていったい何なのでしょう?
そして、政治家も、知事についても、感染者数を
減らすための人流を減らすお願いばかりで、
経済悪化による自殺者増については、誰も責任を
取ろうとしていません。
不要不急とされてしまった仕事は、コロナ禍の間は
ずっと、フル稼働させることができずに、収入が
途絶えてしまいます。たまたまコロナと相性が
良いか悪いかで収入に大きく影響を受けてしまいます。
コロナで出生数が減っている
妊娠・出産・子育てのような大変な長期イベントを
このパンデミックの時期に合わせるのはリスキーであると、
意図的に避けた人が少なくなかったのだろうと思います。
コロナ禍の影響が測れる昨年12月から今年1月に、
多くの国で出生数は10~20%も落ち込んだということです。
日本は2021年ではおよそ6%出生数が減るだろうと
試算されています。少子高齢化が加速している
日本ですが、その出生数の減少度合いも、
人口全体の減少度合いも、当初の予測よりも
コロナによって大幅に前倒しになっているようです。
私たちの世代が高齢者になった時に、それを支える
現役世代が、コロナによって減らされていると言う
こともできるでしょう。
そして格差も拡大する
https://www.nikkei.com/article/DGKZZO70518300R30C21A3000000/
日本経済新聞 繰り返さぬために(1)酷似する危機の予兆
約100年前のスペイン風邪の後、世界大恐慌が起き、
そして第二次世界大戦へと突入していった流れが、
新型コロナ禍からの流れとそっくりだという記事です。
コロナにより、個人の豊かさは90年ぶりというほどに
落ち込み、2020年の1人当たりGDPは世界の85%の国で
前年より減ったということですが、その比率は
大恐慌後の1930年代を上回っているということです。
一方で、コロナ禍で業績を上げている企業もあり、
そこが格差の拡大ということなのでしょう。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO70556500R00C21A4MM8000/
日本経済新聞 繰り返さぬために(2) 労働者襲う「産業革命」
米国では、どの業界にいるかによっても
収入に大きな格差が生まれてきています。
上記の記事によると、IT系の収入の中央値が
およそ9万ドル弱なのに対し、教員や建設関係は
およそ5万ドル、製造業に関してはおよそ4万ドル未満と、
IT系の半分にも満たないという、同じ米国企業でも、
どの業界に所属するかによって、大きな格差が生まれています。
おそらく日本ではここまでの格差はまだ無いと
思いますが、先端を行くアメリカのこの傾向は
後から日本が辿っていく可能性が高いと思われます。
そんな中で、3月末の世界企業の時価総額ランキングが
発表されています。
アップルが世界時価総額トップに
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD300VR0Q1A330C2000000/
日本経済新聞 世界時価総額 米アップルが3年ぶり首位
かつての産業革命を支えた米国製造業の給料が
IT企業の半分もいかないという話題の中で、皮肉なことに、
製造工場を持たない製造業としてのアップルが、
3年ぶりに世界トップの時価総額となりました。
時価総額とは、株価×発行済み株式数となりますので、
将来の期待値がこめられた価格となります。
米国IT企業のGAFAMが世界上位を占めており、
2位にはサウジアラビアを支える石油の国有企業
サウジアルムコがいます。
中国BATのテンセントとアリババもすぐ下に
つけています。イーロン・マスクCEOのテスラは、
昨年81位からのジャンプアップです。
日本企業は20位までにも入っておらず、
トヨタ自動車がやっと32位に入っているようです。
はっきり言って日本企業の存在感は
全くなくなってしまっています。
世界と日本の格差もまた開いている事でしょう。
日本企業は年々競争力を失っており、
そこへ来て、人口減少に加速度がつくという
先ほどの出生数減少のニュースは、とても不安に
させられます。そういう時代を競争して
いかなければならないことをまず我々は自覚
しないといけないのかもしれません。
まとめ
新型コロナ第4波が懸念される中で、
今必要なことについて、竹中平蔵氏の記事を
紹介させて頂きました。医療体制の強化に
何も貢献できない政治家や知事が、人流抑制
だけをお願いし続け、経済的な損失や
自殺者増加には何も責任を取らず、それでも
日本は世界的には感染被害が少なく済んでいる
という奇跡的な状況です。
しかし、コロナ禍による出生数の減少や、
アメリカ企業の業界ごとの収入の格差拡大、
どんどん巨大化していく世界トップ企業と、
そこに存在感が無い日本企業の競争力の低下、
そして迫りくる少子高齢化のコロナ禍による
前倒しの悪化。
スペイン風邪流行後に世界大恐慌が来て、
第二次大戦へと突き進んでしまった過去と
同じ轍を踏まないためにも、人類は過去に学び、
現状を認識し、一人一人が考え、何ができるかを
模索していくことが大事だと思います。