誰がここまでの活躍を予測できたか
日本プロ野球だけでなく、アメリカに渡って
メジャーリーグでも、ピッチャーとバッター
の二刀流での尋常ではない大活躍を
成し遂げている、大谷翔平選手ですが、
今シーズンはホームランダービーのトップを
シーズン折り返し地点であるオールスターゲーム
までキープし続け、さらにオールスターゲームの
ホームラン競争に日本人で初めて出場し、
アメリカの野球フアンを熱狂させています。
その活躍を支えるものとは
特に、歴史あるメジャーリーグの中で、
大谷選手のために、初めて投手と指名打者兼任で
出場できるように特別ルールが採用されるなどして
メジャーリーグでも規格外の活躍をしています。
https://jp.reuters.com/article/baseball-mlb-ohtani-allstar-idJPKBN2EI2G2
REUTERS MLB=大谷は1番・DHで先発投手、オールスターで特別ルール
マンガのストーリーですら考えが及ばない程の
大活躍を続ける大谷選手ですが、その活躍を
支えたであろう、高校時代に書いた
「目標シート」が連日報道で取り上げられている
のをご存知でしょうか?
高校一年生の時点で、ドラフト1位に8球団から
指名されることをメインの大目標に置き、
その目標を実現するためは、何をすればいいのか、
以下のように8項目の施策をまわりに記入しています。
上記内容を、高校一年生の時の大谷青年が
自分なりに考えて項目を書いたようですが、
「体づくり」「コントロール」「キレ」
「スピード160km/h」「変化球」「運」
「人間性」「メンタル」という8つの項目が
ドラフト1位に8球団から指名されるために、
必要なこととして設定されています。
ビジネスマンも参考になる論理的思考
これを見た時にまず感じたのが、
とても論理的に考えられているなあということです。
論理的な思考をするために、MECE(ミーシー)
という、「もれなく、ダブりなく」という
考え方があるのですが、まさに高校生にして、
「MECE」の考え方がしっかりできていると感じます。
8球団からドラフト1位に指名されるために
必要な項目が、不足も無く、重複も無く、
的確にとらえられていると思います。
またこの、8球団から指名というのは、同郷
岩手県の花巻東高校出身の憧れの先輩、
菊池雄星投手(現・米国シアトルマリナーズ)
が6球団からドラフト1位の指名を受けていたので、
それを上回る目標を設定したということです。
自分の目標を超えた二刀流の道
よく見てみると、この当時はバッターとしての
目標はほとんど記載が無く、ピッチャーとして
大成することを優先していたことが分かりますね。
その当時は、さすがに本人でさえも、二刀流で
プロになってからもずっと活躍できるということは、
目標レベルには考えられなかったということでしょう。
それがいつの間にか、二刀流が夢でなく目標になり、
ついには実現してしまうという今の現実は、当時の
大谷青年の目標を超越した次元に展開されています。
高校時代には二刀流について、どの程度まで意識して
いたのでしょうか?
このあたりの本人の気持ちを聞いてみたいですね。
8つの施策をさらに展開
そして、大目標を達成するための8項目の施策
それぞれについて、さらにブレイクダウンしていき、
それらを実現するためのさらなる8項目の施策を
それぞれに記入していきます。
曼陀羅のように展開していくのですね。
これは、大人でも結構考えないと埋められないですよね。
面白いのは、野球の技術以外にも、「運」や「人間性」
も同レベルに重要視しており、例えば「運」を高める
ために、「あいさつ」や「ゴミ拾い」「審判への態度」
などが掘り下げられています。
このあたりに、大谷選手らしさが表れているような気がします。
高校生でここまでの目標が描けて、それをまともに
実践するなんて、運を天に任せてボケーっと高校生活を生きて
きた自分には信じられず、本当に驚きます。
同時に、なるほどここまで生活の全てを野球につなげて
自分の為に自分が決めた打ち手を、毎日コツコツ実行して、
自分を高めてきたからこそ、今、これほどまでの
大偉業を達成できているのだと納得ができます。
天から与えられたもの×正しい努力
体づくりのために、毎晩ごはん7杯というのも
一人で3~4人家族分を食べてしまうということで、
親御さんの支援も、相当頑張っていたことが分かります。
ちなみに、体づくりの、「FSQ90㎏」とはフロントスクワット
のことで、「RSQ130㎏」はリアスクワット(バックスクワット?)
のことと推測したのですが、正しいでしょうか?
単に恵まれた運動神経に、恵まれた体格という
だけの話ではなく、肉体もまた、ご飯7杯の努力も
含めて、地道な基礎トレーニングを怠らず、
自分のポテンシャルを引き出す鍛錬を続けてきた
結果としての、自分の生み出した作品なのでしょう。
努力も運も全て味方に
高校1年生の多感な時期に、
大目標を一つに設定できるだけで凄いことだと思います。
さらに、それを達成するための中目標と、中目標を
達成するための小目標まで、81の項目を自分で
自分の為に設定して、それを着実にこなしていく
というのは、並大抵のことではなく、マネできる人
は、なかなかいないでしょう。
それをアドバイスした指導者の力量も評価されて当然です。
大谷青年が持っているポテンシャルを
最大限に引き出してくれた、この高校の指導者
との出会いもまた、大谷選手が大事にしている
「運」なのですよね。
この大目標は達成されたのか?
ちなみに、「8球団からドラフト1位指名を受ける」
という大目標ですが、高校3年生になるころには
その資格は十分に値する程の活躍をし、有名に
なっていました。しかし、結果として
プロ野球球団8球団からの1位指名はありませんでした。
なぜなら、本人の中では日本のプロ野球よりも、
マイナーリーグからのスタートでもいいから、
高校卒業後にダイレクトに米国に渡りたいという
気持ちが強まり、もはや日本の球団から
ドラフト1位の指名をもらうという次元では
収まりきらなくなり、もっと大きな目標へ
と舵が切られました。 従って、米国に渡ること
が、ほぼ確定と思われたので、日本のプロ野球
球団は指名しても獲得はできないだろうという
空気が出来上がっていました。
しかしそんな中、それでもいいからと
北海道日本ハムファイターズがドラフト1位指名を
公言し、単独指名で指名権を獲得しました。
そこから、大谷選手の説得にあたり、米国メジャーへ
行くことを前提として、米国メジャーで活躍し、成功
確率を上げるためにこそ、日ハムでの経験が必要なのだ、
とする壮大なプレゼンテーションによって、ついに
大谷選手を獲得したという、有名なエピソードがあります。
プレジデントオンライン プロ野球・日本ハム「大谷獲得」の舞台裏
まとめ
誰も想像できないほどの大活躍をする
メジャーリーガー大谷翔平選手の
高校時代に描いた「目標シート」を
取り上げました。大目標を達成するための
施策を8項目の中目標として打ち出し、
その中目標を達成するためのより具体的な
施策を小目標として、ブレイクダウンして
全部で81の施策を設定するものです。 とても
論理的に「MECE(ミーシー)」で考えられて
おり、ビジネスマンの仕事や人生においての
目標管理にも大いに学べるものがあります。
自分の成し遂げたい目標に対して、正しい施策を
設定し、それをコツコツとやり続ける作業は
地道で根気を必要としますが、結果的に
最も効率的であったりします。そしてより
注目を集めているのが、運や人間性を高める
ために、あいさつや、礼儀、ゴミ拾いなどの
野球の技術やアスリートとしてのパフォーマンス
に直接関係無さそうな項目が設定されていること、
そして、今も大谷選手の行動のそこかしこに
ゴミ拾いや、礼儀、審判への態度などへの
施策の実施が垣間見られることが、脚光を浴び
称賛されています。 自分もスケールは小さい
ですが、「目標シート」をつくって、実行に
移していこうと思います。