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日本は男女格差の後進国?

更新日:

森元首相の女性蔑視の発言は、日本だけでなく

世界中からたたかれてしまっていますが、

悪い意味で注目を浴びてしまっている、

日本人の男女格差についての考え方について

考えてみます。

森氏の発言とは?

森喜朗氏が、JOC(日本オリンピック委員会)の

臨時評議員会で行った発言となります。

「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげて言うと、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」

「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度規制をしないとなかなか終わらないので困る、と言っておられた。誰が言ったとは言わないが」。

これは、誰か特定の人物について言っているわけではなく

女性全体にあてはめているところが、浅はかというか、

女性蔑視と受け取られても仕方ない発言だと思います。

森氏の失言は今に始まったことではなく、

首相時代からも時々取り上げられていました。

大物政治家らしく、いわゆるリップサービスのように、

ちょっと極端なブラックユーモアを含んだ

毒のある話でウケを狙おうとするのは、この手の

人達にはよく見られる光景かもしれません。

そしておそらく、この女性蔑視の失言についても

いきなり初めて話したというよりは、身内で話した時に

ウケたり、同調するような人がいたから、大勢の前でも

ウケると考えたのではないでしょうか。

せっかくの仕事が台無しに

東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会の会長

として、無報酬でこの仕事を引き受け、

人脈を使った根回しなどを駆使して取りまとめ、

難しい組織委員会の仕事を、新型コロナ禍の中でも

うまく進めていたと、その仕事を高く評価する

声も少なくありません。 間違いなく

大会実現に向けて、大きな貢献をしてきのでしょう。

しかし、大会組織委員会の会長として、

大会の顔としてのこの女性蔑視発言は、

いくら後から撤回し、謝罪しても、一度口から

出てしまった言葉は、その人の主義主張なのだと

受取られてしまうし、謝罪会見の逆ギレぶりも、

かなり悪印象を与えてしまったと思います。

自らの人生をかけてのぞんだ大きな仕事に対して、

自らが足を引っぱり、台無しにしてしまった感じが

して非常にもったいないことだと思います。

森さんだけが特別?

このような考えは、森さん特有のものとして、

他人事で終わらせるのではなく、

やはりこれを機に、日本自体が男女格差において、

非常に遅れているということを認識しないと

いけないと思います。

内閣府では「男女共同参画局」という組織を立ち上げて、

男女があらゆる分野で活躍できる社会を

目指した取り組みをしています。

https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2019/202003/pdf/202003.pdf

内閣府 共同参画

上記サイトの資料における、

日本の専門職・管理職における女性の割合をみると、

民間企業の管理職(部長職)、新聞社、

NHK管理職、民放管理職、などでは

女性は1割にも満たず、また、

大学教員、医師、弁護士、政治家などでは

およそ2割に満たないという状況です。

その結果なのか、世界経済フォーラムが公表する

「ジェンダー・ギャップ指数2020」において、

我が日本は、153か国中121位(前回は149か国中110位)

という、想像以上に遅れた国であることが分かりました。

なぜ日本はここまで男女格差後進国なのでしょうか?

日本人は変化が苦手

「和を以て貴しとなす」のことわざが

日本を象徴しているように、日本人は

自分の隣にいる人と同じようにやることは得意、

だからモノづくりなど共同作業、流れ作業が

上手にできるという側面があります。

しかし、集団の中で個性を目立たせたり、

自分だけ違う意見を言うことは苦手だと思います。

要するに変化に対して非常に慎重なところがある

のだと思います。しかし今は、変化の激しい

激動の時代です。

変化をリスクと思うか、チャンスと思うかで

結果は大きく違ってきます。

また、日本特有の「空気を読む」という言葉は、

森氏の発言における、会議の発言が長いのどうのという

のは、「空気を読めない」とか、そういう思いから

きているように想像します。

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日本のハイコンテクスト文化

「ハイコンテクスト文化」と「ローコンテクスト文化」

という言葉をご存知でしょうか?

「ハイコンテクスト文化」というのは、

コミュニケーションが価値観や、感覚などの

コンテクスト(文脈、背景)に大きく依存する

文化のことを言います。 

コンテクストには、話されている言葉そのものには含まれない

ジェスチャーや声の大きさ、時には話者の地位や立場までも含まれます。

要するに、みなまで言わずとも、空気を読んでね、

という感じで、日本語や日本の文化はこの

ハイコンテクスト文化の代表的なものです。

それに対して「ローコンテクスト文化」というのは、

コミュニケーションがほぼ言語を通じて行われ、

明快で曖昧さがない文化を指します。

したがって、1から10まで説明する必要があり、

日本人なら言われなくても当たり前にやるような

ことでも、言われてないからやりません、という

トラブルになるので、説明する側はきっちりと伝えようと

努力します。 北米、西欧がローコンテクスト文化で、

英語という言語も、曖昧さをなるべく排除したもの

になっています。

島国としてほぼ単一民族で構成されている日本は、

協調性が重要視され、空気を読んでまわりに

同調することを教育されてきました。

失言の背景を考える

森氏の失言が生み出されてしまった根底には、

異質なものを排除しようという無意識的な

考えがあったのではないかと推察します。

これまでの男性主導の社会の中では、上下の階層も

はっきりしていて、会議のあり方としても、

予定調和なものが多く、閉鎖的なものだったのでは

ないでしょうか? だから、もうすでに根回しして

決まっている決定事項を皆で認識、共有するだけ

の場であって、そもそも新しい意見を取り入れようと

いう姿勢が無かったのではないでしょうか?

女性に限らず、新参のメンバーが、どうしてそうなったのですか?

とか、既に決まったことについて、話を蒸し返すような質問をしたり、

あっさりと進行させないような意見を言うことは、森氏をはじめとした

多くのお偉いさん方にとって、有り得ないという認識だった

のではないでしょうか?

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多様性を活かせない組織は時代遅れに

しかし、現代のグローバル社会では、様々な文化や

背景をもった、様々なスキル、考え方を持つ人々の多様性を理解し、

あらゆる意見を出し合って、そこから最適解を

見出したり、物事を決めていかなければなりません。

むしろ情報化社会では誰もが知る情報はすぐに

共有されますので、同質化してしまった組織からは、

新しいアイデアやイノベーションが生まれてこず、

旧態依然とした成長の無い組織では、そのまま衰退して

厳しい世の中では生き残っていけないのだと思います。

日本人として、グローバルの中で他国と比較して

あらゆる分野で女性の参画が少ないことと、

国際的な競争力が低下してきていることは無関係では

無いように思えてきます。

エリートが集まる、政治家や医師、弁護士や

企業の役員などに、男女問わず実力に応じて誰でも

参画できるような国にしていくためにも、

日本人は、ハイコンテクスト文化を少しずつ変えて、

人の肩書や、立場を慮って忖度することなく、

「誰が言っているか」よりも、「何を言っているか」を

しっかりと理解して、空気を読まずに率直な意見を言って議論を重ね、

集合知、集団知による最適解を導き出す、そういう会議の

あり方を意識していかなければならないと思います。

みんなで議論して良い方向性を見出そうという

しっかりした目的意識があれば、男女も、老いも若きも関係なく、

対等に議論できると思いますし、そこに偏見や

閉鎖的、排他的な感情を持ち込むような人は、

組織を弱体化させる恐れがあるので、

やはりリーダーとしては失格となると思います。

まとめ

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長である森氏の

女性蔑視の失言について、考えてみました。

その背景には、日本人の皆まで言わずとも

空気を読んでコミュニケーションをとる

「ハイコンテクスト文化」も関係しており、

典型的な、変化を嫌うお偉いさん方の会議のあり方が、

根回しによる予定調和で、そもそも新しい議論を生み出そう

という意識に欠けたものだろうと推察しました。

しかし、これからの時代は多様性を活かして

新しいアイデアやイノベーションを積極的に

起こしていけない組織は、激しい変化の時代には

生き残っていけず、淘汰されてしまいます。

空気を読んで忖度するのではなく、しっかりした

目的意識をもって、あらゆる側面から意見を出し合い、

自分だけでは成し得ないような最高の答えを

集合知から生み出せるような、多様性を活かした

組織運営ができる人こそ、真のリーダーたり得るのだと思います。

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