西脇資哲氏のエバンジェリスト養成講座セミナーに参加してきました。
登壇者 エバンジェリスト 西脇資哲氏
日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員
著書「プレゼンは”目線”で決まる」
「新エバンジェリスト養成講座」
「最強のプレゼン段取り術」など
ノーベル賞受賞者の京都大学 山中伸弥教授にもプレゼンの指導をしているとの事。
プレゼンの目的は伝えるだけでなく、相手を動かすこと
西脇氏はマイクロソフトの役員でありながら、誰もが必要とする
プレゼンテーション技術の指導者です。
プレゼンは、テクニックさえ知れば他人との差が生まれるので、
難しい事ではないといいます。
プレゼンのゴールはパーセプションを変えること
西脇氏は、プレゼンテーションのゴールを、
「Perception change」
すなわち、パーセプションを変えることだと言います。
パーセプションとは、相手の考えを知り、理解するということで、
自分達の良いところだけを一方的にアピールするのではなく、
相手が自分達や自分達の商品をどう考えているのかを知り、
その上で、認識、理解、知覚を変えてもらうということです。
パーセプションが変わると、そこに行動が宿ります。
自分にとって、このことが聞けただけでも、非常にお得なセミナー
だったと思います。
プレゼンとは、こちらのいいところを最もよく見せればいいという、
自分本位の考えから、
相手の認識、相手の目線から見るとどうなのか、というところが
出発点でなければならないということが分かりました。
例えば、相手がこちらの進める商品・サービスに疑いの目を持っている中で、
いいことばかりあげつらってみても納得して聞いてもらうことは
難しいと思います。
そこで、相手の目線、立ち位置から入り、
こういう心配があるかと思いますが、それはこうやって解決できます。
とか、値段が高いと思うかもしれませんが、購入前よりも
コストの節約効果がこうなります、とか、相手の認識をしっかり把握して、
そこから入っていき、相手のパーセプションを変えるところまで
考えてプレゼンしていく。
売り手が、これいいですよと、いいことばかり言うのは、当たり前の話で、
それだけでは相手に刺さらないですからね。
また、西脇氏がいうには、プレゼン能力は年とともに衰える、との事。
幼いころは身振り手振り、体全体やあらゆるものを使って、
相手に伝えようとします。
それが、いつの間にか大きくなると口先だけで済ませるようになっていきます。
TEDのスピーチもそうですが、身振り手振りで、全身で気持ちをこめた
プレゼンというのは、人の心を打ちますよね。
確かに、頭いいと思われたいとか、かっこいい決め台詞を
言いたくもなりますが、それよりも、童心に帰って言葉で伝えきれない思いを、
体全体を使って表現しようとする、パッションが必要かもしれませんね。
テクニックがあれば、どんなスライドデザインでも良い
プレゼンのスライド資料は、オーソドックス、ビジー(詳細)、
フラッシュといった様々なタイプがあることを解説してもらいましたが、
どのタイプのプレゼン資料であっても、良いプレゼンをすること
が出来るそうです。
逆にダメなのが、ただ資料を作成してそれを読み上げるという、
単なる読み上げ作業にならないように、という指摘がありました。
シナリオテクニックとして、3:7の比率を教わりました。
これは、本題は7割にして、残り3割を合意形成、
すなわち課題提起とその回答に使うというものです。
なぜ今、自分がここでこの話をすることが、あなたにとって重要なのか、
この合意形成が無いと、結論があいまいになり、
相手の行動への決定、決断が無くなってしまうといいます。
その合意形成のために、効果的なテクニックとして、
「ホラーストーリー」の解説がありました。
商品をすすめる前に、よくこんな苦労をすることがありませんか?
この商品が無いと困ることや、全然うまくいかないこと、
こういった「ホラーストーリー」をまず紹介します。
そして、そのホラーストーリーを解決する形で、商品を紹介していく
というパターンです。
いかにホラーストーリーを共感してもらうかが重要になりますね。
目で探させるスライド資料はNG
スライド資料の作成で重要なのは、今資料のどの部分を説明しているのかが、
すぐわかる事だと西脇氏は解説します。
あまりカラフルで複雑にする必要はなく、派手なアニメーションの動きなど
も不要で、なるべくシンプルに、強調したい事とそうでないものを
はっきりさせ、メリハリをつけることが大事だということです。
話し方
魅力的な話し方を目指すなら、動きは大きく、手を動かしながら話すこと。
話題が変わる時に手をたたいて注意を惹きつけたり、
「まずは」「そして」「続いては」のような接続詞のタイミングで、
聴衆を振り向く、という池上彰さんばりのテクニックも教えて頂きました。
テレビ番組を含めて、普段プレゼン上手な人の話を聞く機会は多いですが、
なぜその人の話を聞きやすいと感じるのか、なぜこの人は話が上手だと
思うのか、そのからくりが少し見えてきたような気になりました。
プレゼンの最後の言葉を決めておくこと
プレゼンの最後のまとめの部分でジタバタしてしまう人が多いそうですが、
最後はこれを言って締める、というのをあらかじめビシッと決めておくと、
終わり良ければすべて良しではないですが、プレゼン全体が締まる
ということです。
そしてプレゼンのスタート時のつかみも重要です。
例えばスタート時に、プレゼンに与えられた時間を伝えるとか、
何時に終わる、とかを言うことも良いそうです。
確かに期限を意識することで、聞き手にも集中力が出てくるような気がします。
そして、構成では、事実(ファクト)を言ったら、
次に自分の意見(オピニオン)を言う、
これをバランスよく組み合わせると良いそうです。
ブリッジというテクニックについても解説がありました。
次のスライドの話のフリ(ブリッジ)を入れる。
ブリッジとは、例えば、この結果が起きている原因分析結果がこちらです。
というブリッジ(前振り)の後に次のスライドに進む。
ブリッジ誘導があると分かりやすく、流れがスムーズになる。
ブリッジは徹底していれるべきで、全体の8割に入れられれば良いとの事です。
感想
セミナーは、あっという間の時間で、内容がとても面白かったです。
プレゼンの極意を知ってみると、難易度はそれほど高くなく、
すぐにでも自分でもできそうな感じです。
しかしここからそれを自分のプレゼンの場で実践して、
自分のものとして、使いこなすためには、もう少し経験が必要かと
思いますので、意識して実践の場を積み重ねていきたいです。
せっかく自分が秀逸なアイデアや意見をもっていても、
それを相手に説得力を持って伝えることが出来なければ
本当にもったいないことですし、それが、ちょっとしたアプローチの
やり方を変えるだけで、相手にインパクトをもって伝えることができるならば、
これほど強力な武器は無いのではないでしょうか。
まとめ
プレゼンの目的は相手の認識を変え、行動を変えてもらうこと。
スライド資料はどんなデザインでもいいが、シンプルで重要事項に
メリハリをつける。
スライド資料のどこを説明しているのかが、すぐわかるように、
相手に目で探させない事。
話し方は、熱意をこめて、身振り手振りを大きく使うこと。
最後の締めの言葉をあらかじめ用意しておくこと。